美術家
高島 亮三 / TAKASHIMA Ryozo
● 主な技法:モニュメント
昭和30年(1955年)から現在(2024年)まで発行が続く、現行貨幣の1円アルミ貨。 そこにモチーフとして描かれている木は、実在する「リアル」な木ではない想像上の木として通称「若木」と呼ばれ、戦後復興を志す日本の姿を象徴しているという。 だが、発行初年からすでに70年近い歳月を経た今、日本の経済動向もバブル崩壊後は低成長を続け、現状では「若木」とは名ばかりの「老木」の域である(実際のところ、ここ10年は、市場に出回るような規模の発行はほとんど実施されていない)。 (「若木」として描かれているような)クヌギやコナラ等の落葉広葉樹は、定期的(15〜20年周期)に伐採していくことで、若い健全な樹体を再生させていく(これを「萌芽更新」という)が、その適切な更新のタイミングを逃し遅きに失すると、木は再生能力を失い、伐採後そのまま立ち枯れてしまう。 翻(ひるがえ)り現代の日本。 現実(リアル)を直視せず、例えば(東京・札幌)五輪や(大阪)万博の再誘致に象徴される高度経済成長期の焼き直し、いわば「若木幻想」というべき、過去の栄華を夢見るような時代遅れの「萌芽更新」を、私たちは一体いつまで、否、立ち枯れるまで続けるつもりなのだろうか。
高島 亮三 Profile
1972年 東京都生まれ
1996年 多摩美術大学美術学部デザイン科グラフィックデザイン専攻 卒業
◆受賞歴
2001 「ユニクローム」 群馬青年ビエンナーレ2001 優秀賞
2009 「0円均一」 エコジャパンカップ2009 エコ・アート部門 準グランプリ
2018 「National ● Dice」 MONSTER Exhibition 2018 最優秀賞
2020 「1984+36」 第23回 岡本太郎現代芸術賞 入選
◆展示歴
2004 個展「犬小屋の住人」 トーキョーワンダーサイト(東京)
2011 個展「美術の時間」 静岡市クリエーター支援センター(静岡)
2019 個展「1984+36」 遊工房アートスペース(東京)
◆インフォメーション
趣味/路傍の石ころ採集、コケ鑑賞
特技/四つ葉のクローバー探し
好きな言葉/個人主義は他人主義に通ず
好きな食べ物/みかん、とんかつ
好きな美術家/ベン・シャーン
好きな有名人/岡村孝子
ライフワーク/60歳までに東京都県境一周(現在進行中)