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池袋回遊派美術展26/05/26[火]-26/05/31[日] @ 自由学園明日館 講堂

ペインター
相馬 麻由 / Mayu Soma 

● 主な技法:変形パネル、染料の入ったジェッソを多層塗布し研磨した物、化学染料での自作「染め物絵の具」での描画

私は、人が生きる過程で何度も残していく、未完の感情や意味づけされる以前の心の状態を「うつせみ」と呼び、それらを絵画の主題としている。
私の制作において、人の「うつせみ」とは、目に見えながらも実体として触れることのできない、人の記憶や感情の中にのみ止まる痕跡のような存在を指している。羽化の途中を繰り返すような、しわくちゃで不完全な痕跡の連続ではないだろうか。
私たちは出来事に意味を与え、悔やみ、喜び、感情を折り重ねて生きている。
折り重なった布団の中に包まった記憶や、脱がれたままの衣服、窓やモニターに一瞬映る とりとめのない人の輪郭。
触れればすぐに形を失ってしまうし、距離があって触れられないものもある。
目に見えながらも実体として触れることのできない、人の記憶や感情の中にのみ留まる存在である。
ガラスのようなものの向こうで動く、非実在の布のような、触れられない不完全な生きものを観察して覗き込むように、私は「うつせみ」を見つめている。

私は、触れられない「うつせみ」を、化学染料で作った「染め物絵の具」で描いている。
化学染料は私たちの現代社会を彩る色素である。触れられない粒子の細かさで、大量に繊維を染めることができる。市場に出回るのは布や素材を、誰かのものにするために化学染料で染めたものだ。

化学染料を含む下地の層を研磨することで生じる模様を手がかりに、私は化学染料とウレタン樹脂を用いた自作の「染め物絵の具」で、染み込ませながら「うつせみ」を描く。
誰のものでもなかった感情の痕跡を、触れることのできない小さな染料の粒の絵の具で絵画として、誰かのものにするための描画である。
化学染料は水分を媒介にするため揺らぎがあり、時間経過などに色褪せていくことさえもあるが、それを受け入れて、けれども小さな抵抗としてガラスのようなものに入れるかのようにニスで封じ込める。
不確かなものや揺らぎをなかったことにしないための小さな抵抗である。
化学染料を描画材として、私が眺めていた「うつせみ」を、誰のものでもなかったことにせず、誰かに手渡す媒介として用いている。

相馬 麻由

相馬 麻由 Profile

1989年 岐阜県生まれ

2014年 女子美術大学芸術学科洋画専攻卒業 卒業

◆受賞歴

◆展示歴
2014 年 3 月 五美術大学連合卒業・修了制作展 新国立美術館
2015 年 2 月 個展「ito-nami」Art complex center
2023 年10月 個展「うつそみ」
2024年4月 春陽展入選
2025年4月 春陽展入選
2026年4月 春陽展入選

◆インフォメーション
1989年 岐阜県生まれ
2008年 3月岐阜県立加納高等学校 美術科卒業
2014 年 3月 女子美術大学芸術学科 洋画専攻卒業


私は、人が生きる過程で何度も残していく、未完の感情や意味づけされる以前の心の状態を「うつせみ」と呼び、それらを絵画の主題としている。

私は、触れられない「うつせみ」を、化学染料で作った「染め物絵の具」で描いている。
誰のものでもなかった感情の痕跡を、触れることのできない小さな染料の粒の絵の具で絵画として、誰かのものにするための描画である。