馮聖心 /
● 主な技法:インスタレーション
身体とは何か?
今回の作品は、私の2024年の答えの一つです。
『身体はダイナミクスな建築で、中には様々な「私」が共存している』
身体の外部
私たちの身体は皮膚の内側に閉じ込められているわけではなく、外部の世界と交じり合っています。日々の生活の中で、身体は物質と精神の境界を越え、相互に影響を与え合っています。
例えば、毎日着るパジャマは私の存在が染み込んだ一部であり、安定感や安心感を与えて、まるで私の延長のように感じられます。また、他者との触れ合いを通じて、私たちは自分の存在を広げ、互いに影響を与え合います。社会や環境との相互作用を通じて、私たちの身体は絶えず変化し続けます。
身体の内部
私が関節リウマチという病気を経験したことに基づいています。免疫系が自らの組織を攻撃し、関節に炎症と痛みを引き起こすこの病気は、私にとって身体が内部で戦争を繰り広げているように感じられました。協調と対立が繰り返される中で、私自身が制御できない部分もそれぞれの自己意識を持ち、身体という建築の中で共存していると感じるようになりました。
また、幼少期からアニミズムという概念に影響を受け、世界を理解しようとしてきました。動物や無生物は身体的には人間とは異なる存在であっても、内面的には類似していると考えてきました。体内の一つ一つの臓器にもアニミズムが宿っているのではないかと感じます。
今回の作品は、身体という存在の外部範囲(服の延伸、気配など)から、体内の仕組み(風景、内臓、記憶、無意識など)をレイヤーごとに分けて絵にしました。体外から体内の世界を覗き、または体内から外の世界を覗くという構想です。観者は作品を見るとともに、作品の一部になる。入れ子構造ののように、体内には色んな住民が住んでいるであれば、我々も地球という体の中に住民ではないかと思っている。内部と外部の境界線はなく、全てが一体だと感じます。
馮聖心 Profile
台湾台中市生まれ
2016年 台北実践大学建築設計科 卒業
2023年 東京藝術大学美術研究科デザイン専攻 修士 修了
2024年 東京藝術大学美術研究科デザイン専攻 博士後期課程 2年
◆受賞歴
2022年 平山郁夫奨学金
2023年 三菱地所賞
2023年 東京藝大アートフェス2023 優秀賞
2024年 IAG AWARDS EXHIBITION2024 入選
◆展示歴
2023年2月 令和4年度 東京藝術大学 卒業・修了作品展
2023年10月 東京藝術大学 三菱地所賞受賞記念展示(東京 丸ビル)
2024年2月 O+展(東京 新生堂)
2024年7月 描画図鑑展(東京 佐藤美術館)
◆インフォメーション
世界と私の間に重なる身体を通して、心の在処を探る人です。
様々な素材と方法を試して、探る途中の考えを作品で記録しています。