HiiRO / HiiRO
● 主な技法:デジタルアート モーション映像
海外から見た日本人の印象は、表情が乏しく、一見何を考えているか分かりづらいと感じることがあります。現代社会では、感情を表に出すシーンが少なくなり、特にSNSやオンライン上では簡潔なコミュニケーションが増え、表現の精度や心の豊かさを培う機会が減少しています。
しかし、日本人はもともと曖昧な感情のニュアンスを理解し、空気を読む能力や相手との共通理解を深めるためのコミュニケーションの豊かさを持っています。
古来からの日本のオリジナル言語である大和言葉には、喜怒哀楽などのわかりやすい意味を超えた、こころの状態や情景の奥深さを表現する創造性があります。さらに伝統的な価値観や道徳観が含まれているので、日本人の行動や意思決定の背景を理解するのに役立ちます。
また、能面は不確定な表情や中間表情として知られていますが、あらゆる表情の基盤を少しずつ持っていると言われています。
そこで、大和言葉が織り成す感情を、能面というアイコンを通して、ドットの微細な変化で表現するピクセルアートの文脈を使い、移りゆく顔の表情を現代に蘇らせました。
本作品は、古典的な要素と現代の技術を融合することで、新しい視点や体験を提供する作品です。能面の微細な表情は、古来から受け継ぐ豊かな表現力を呼び覚まし、新しい世代にも受け継がれて行くように、過去と未来をつなぐ架け橋として機能させたいと考えました。
この試みで、日本人の精神性が生きた表現の魅力を伝え、人と人の間にこころの通い合いを促す役割を果たしていきたいと思っています。

HiiRO Profile
1975年 東京都生まれ
1995年 文化服装学院 服飾専門過程服装科 卒業
◆受賞歴
◆展示歴
2002年4月
“SHINKU-KAN” にて個展 (東京:表参道)
2001年6月
“SHINKU-KAN” にて個展&Fashion show (東京:表参道)
2001年3月
“LUKE” にて初個展 (東京 : 代官山)
2001年8月
“VAL” にて2人展 ( 東京 : 青山)
2000年11月
Design Festa Vol.11 アートフェアに参加 (東京)
◆インフォメーション
文化服装学院 服飾専門過程服装科を卒業後、精神世界を探求しオイルパステルを用いた作品や、服飾とアートを融合させた作品でファッションショーを開催するなど、技法や媒体にとらわれない表現で挑戦してきました。そして2023年、20年の歳月を経て再始動。日本の伝統や文化からインスピレーションを受け、大衆文化と美術の融合を模索し、日々の研究を通じてアナログとデジタルを越境し活動しています。新作では日本のオリジナル言語である大和言葉と能面から着想を得て、デジタル作品に昇華させました。