彫金作家
髙橋星 / takahashi akari
● 主な技法:透かし彫り、腐食
銀の装身具に込めた思い
「装身具はファッション用品ではなく、民族のアイデンティティなどを示すものであり、生活の美そのものである。アジアの人々にとって銀の装身具は、あってもなくてもいいものではなく、生きるために絶対必要なものでもあった。
当然、装身具に話す思いは、現代の私たちとは比較にならないほど大きく、強い。」
露木宏・村上隆・飯野一郎(2011)「聖なる銀:アジアの装身具』INAXギャラリー
現代では内容よりも美しさや華やかさだけがフィーチャーされるようになっている。
古代の装身具は外見を飾るためだけのものではなく、人間の内面的な施さを補うためにその美しい外見が存在する。
身を飾ることで自分を美しく見せ、強く見せようとする行為は人間の虚栄心や外敵への恐怖心に基づくものであり、その感情は皮肉めいて人間的であり美しい。
身体をモチーフに、血液、骨、臓器、感情など、目に見えない人体のグロテスクな部分や、排除されるような皮肉さを装身具という形で直接表現し、現代では忘れられようとしている装身具の根源的意味を探る。
また装身具に込められた根源的意味のように、隠れて目に見えないものが重要であったり、隠されて伝わらない言葉があったり、人それぞれが持ちうる見えない“真意”を作品を通して追憶する。