ソフト・スカルプチュア作家
PieniSieni / Soft Sculpture Artist
● 主な技法:オフフープ®立体刺繍
この展示空間では、産業廃棄物として捨てられる運命にあった「工業残糸」と、完成された素材として流通する「刺繍糸」という残酷なまでの対比を、一つの生態系として再構築している。
土台となる苔を形成するのは、市場において「無価値」と断じられた工業残糸だ。
ガラス容器の中に閉じ込められた工業残糸の胚は、この生命体の中心を司る「細胞の核」となり、その周囲に広がる無数の刺繍の針目は、一つ一つが脈動する「細胞」として画面を構成していく。
その細胞の連なりから芽吹き、舞い踊るのは、市販の刺繍糸によって命を吹き込まれた食虫植物や蝶たちである。
ここで行われるのは、美しき生命による「相食む(あいはむ)」という営みだ。
鮮やかな翅を持つ蝶が、同じ刺繍糸から成る食虫植物に囚われ、その体躯を溶かされ色彩を奪われていく。
価値あるもの同士が消費し合うその残酷な循環を、無価値な廃棄物の層が、生命の最小単位として静かに支えているのだ。
本来、価値の序列において下位に置かれるはずの廃棄物が、生命を維持するための不可欠な骨格であるインフラへと転じる。
この逆転したヒエラルキーは、効率性と消費を優先する現代社会が何を切り捨て、何に価値を付与しているのかを浮き彫りにし、視覚化する試みである。
そして私は、この不条理を無邪気に鑑賞する者の「愛でる」という行為に潜む残酷さをも暴き出したい。

PieniSieni Profile
日本生まれ
◆受賞歴
IAG AWARDS 2025 EXHIBITION IAG奨励賞・豊島区長賞
SHIBUYA AWARDS 2025 ファイナリスト
第11回AJCクリエイターズコンテスト銀賞(一般財団法人生涯学習開発財団賞)
第10回AJCクリエイターズコンテスト銅賞(産経新聞社賞)
第8回AJCクリエイターズコンテスト銀賞(公益財団法人日本生涯学習協議会賞)
第7回AJCクリエイターズコンテスト金賞(文部科学大臣賞)
◆展示歴
<2025年>IAG AWARDS 2025 EXHIBITION・SHIBUYA AWARDS 2025
<2024年>駿府博物館
<2023年>銀座蔦屋書店
<2022年>枚方蔦屋書店・代官山蔦屋書店・銀座蔦屋書店
<2021年>代官山蔦屋書店
<2014年~2018年>東京都美術館
◆インフォメーション
独学で刺繍を学びオフフープ®立体刺繍を考案
2017年日本フェルタート®協会設立 協会代表理事
「立体刺繍の花と蝶々(誠文堂新光社)」ほか著書12冊

