小山恭史
小山恭史 / Yasufumi oyama
● 主な技法:UV印刷、LED、アクリル絵の具、インク
私の制作は、誰よりも街を歩くことから始まる。
土地の記憶が刻まれた看板の文字や、何気ない路地裏の色彩。
私が拾い集めるのは、その街に生きる人々の息遣いの断片である。
文字と色彩が氾濫する、日本特有の都市景観を「採集(アーカイブ)」し、独自のアルゴリズムによって解体・再構成する。
デジタル処理が主流となった現代において、あえてフィジカルなコラージュと物質的な重なりを追求する。
それが、私の試みる「ポスト写真」のアプローチである。
本作「夜鳥」は、ライフワークとして取り組んできた「無明シリーズ」から派生した作品である。
池袋の現在を膨大な写真として採集し、キュビズム(多視点)の思想を写真表現に取り入れながら再構成した。
加速度的に変容していく池袋という都市の時間をつなぎ止める試みとして、
そこに宿る「諸行無常」や「もののあわれ」を表現している。
作家活動以前には、エディトリアル、ファッション誌、音楽誌、広告などでフォトグラファーとして活動していました。商業写真を中心にキャリアを積む一方で、個人的な作品制作も続けていました。しかし、新型コロナウイルスの蔓延によって仕事が激減したことをきっかけに、「フォトグラファーとして今、自分に何ができるのか」を改めて考え、この加速度的に変化して行く混沌の街の風景を撮り続けることに注力しました。
その過程で生まれたのが、現在ライフワークとして取り組んでいる「無明」というシリーズです。
このシリーズは、人間の欲望をテーマにしています。看板やオブジェクトを、物欲・食欲・性欲といったさまざまな煩悩の象徴として捉え、「悟りから最も遠い光」という意味を込めて「無明(むみょう)」と名付けました。
通常のフォトグラファーであれば、このような街の記録を本にまとめることが多いかもしれません。しかし、私は「1枚絵として見せられないか」を考え、ピカソやブラックによって確立されたキュビズムの手法を取り入れることで、街の変化や人間の欲望を一枚の作品として再構築しました。
無明シリーズに登場する目や鼻を表す各部位は、東京、愛知、大阪、福岡、宮城、北海道の主要6都市からなり、統合することにより、巨大なダイダラボッチの顔が浮かび上がります。
また、縄文土器の様にも見える形にしたのは、縄文時代の精神性に着目したためです。縄文人は1万年以上も戦争をせず、さまざまな渡来人と和合しつながっていきました。その精神が、現代にも必要だと感じています。そして、真に国際的な作品とは、ドメスティックな要素を持つものだと信じています。
さらに、技法面では、伊藤若冲の「裏彩色」の手法を参考にしています。布に印刷した写真を裏側からもインクや絵の具で塗り込むことで、奥行きと独自の質感を生み出しています。また、現代のアプローチとしてLEDを組み込み、光の色がゆっくりと変化する「現代版裏彩色」を実現しました。これにより、時間の流れや視覚的な変化を感じさせる新しい表現が可能になっています。
今後は、「無明」シリーズが東洋思想の「108の煩悩」をテーマとしているのに対し、新たに西洋思想の「7つの大罪」をテーマとしたシリーズを制作予定です。長辺2m80cmの巨大な作品を7枚制作する計画で、これらはこれまでの集大成ともいえる自信作になる予定です。ぜひ期待していただければと思います。

小山恭史 Profile
1987年 神奈川県生まれ
◆受賞歴
【受賞歴】
2025年 第4回枕崎国際芸術賞展 大賞受賞
2023年 第27回岡本太郎現代芸術賞 特別賞受賞
◆展示歴
【主なな展示歴】
◾️個展
2025年 小山恭史展”無明” (Artglorieux GALLERY OF TOKYOGINZA SIX1階交詢社通り側ウィンドウ/東京
2024年 小山恭史展 ʻ区画色ʼ(四季彩舎/東京)
◾️グループ展
2025年 離散集合(marie gallery/東京)
2025年 モののケ ART CIRCUS(心斎橋PARCO/東京)
2024年 Osaka Art & Design 2024(大丸梅田店/大阪)
2024年 第27回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)展(川崎市岡本太郎美術館/神奈川)
2024年 Art in Tokyo YNK (東京スクエアガーデン/東京)
◾️アートフェア
2025年 UNKOWN ASIA 2025(梅田サウスホール/大阪)
2024年 ART FAIR ASIA FUKUOKA 2024(福岡国際センター/福岡)
◆インフォメーション
1987年神奈川県生まれ。
株式会社イメージスタジオ109での勤務を経て、2012年にフリーフォトグラファーとして独立。
2020年より開始したアートワークでは、出逢い、発見、驚きに満ちた旅の写真をコラージュした作品を制作。それらは激しさと静けさ、大胆さと繊細さを併せ持つ。
【略歴】
1987年
神奈川県川崎市生まれ
2002年
川崎市内の中学を卒業後、左官業、鳶職、解体業、パチンコ店など様々な職を体験
2007年
株式会社イメージスタジオ109入社、写真を学ぶ
2012年
株式会社イメージスタジオ109退社、フリーのフォトグラファーとして独立
2020年
アートワークを開始
