イラストレーター
マナベ レオ / Leo Manabe
● 主な技法:描画
漫画とアートの境目を探る上でまず私が着目したのは、漫画の量産性である。商業的な漫画にあっては全く同じ本が何千何万と刊行される。昨今ではSNS上で個人がアップロードした漫画が話題に挙げられては泡沫のように消えていく。消費社会における空虚さと漫画は切っても切れぬ関係であると感じた。
そこで量産可能なデータ上で作品を制作した。データをそのまま出力するのでは、空虚さを表現するに些か軽薄で、健全すぎると考え、手で描き起こした。
次に私が注目したのは、漫画の枠外についてだ。漫画にあってはシナリオや視覚的情報が概ね人々の関心の的である。しかしながら漫画家と読者が興味の範疇としている空白の領域を模索することこそが、アートと結びついていくのではないかと考えた。
コマ枠の外ではキャストが出番を待っているのかもしれないし、漫画家の生活や記憶と結びついた世界が量産されてなお、私たちの目には見えない領域で胎動しているのかもしれない。
写真や無機的なモチーフ、漫画的な要素(スクリーントーンや打ち文字等)をひとつのビジュアルとして構成することによって、漫画家自身も想定していない空白に広がる世界の可能性を提起することを目的として本作を制作した。
