- KONOYO -

池袋アートギャザリング公募展
IAG AWARDS 2020 EXHIBITION

写真作家
三浦勇人 / yuto miura

● 主な技法:写真

作品名「哀の喪失と創生」

死に触れる機会が多かった人生だが私は物心ついた頃から皆と共に死や不幸をしっかりと哀しみ共有することができなかった。他人の死にとらわれている人を見ると昔から不思議でならなかった。葬儀の時、その死を哀しみ惜しむことよりそのよくわからない「死の時間の檻」からだんだん解放されることへの安堵と幸福感があった。同時に周りの人と共に哀しめない自分へ恐怖めいたものを感じていた。

2016年に最も愛していた母が突然死んだ。突然死んだ母に対しても家族とともに同じ熱量で哀しむことはできなかった。葬儀も終わりに近づき私は解放と幸福感に包まれる。自分が母の死の檻から解き放たれていくような解放的な気持ちになった。それは私にとっての幸福だった。母の死の哀しみが自分の中から喪失し、いつしかその出来事も忘却していくこととなり、私は完全な幸福感に満たされた。

母が死んでから3年。東京での作家生活にも慣れて母の死もとうに忘れていた頃、道端で1人の老婆に切り取られている紫陽花を見かけた。まだ元気で綺麗な紫陽花を無残にも切り取り気に入った一つを持ち帰り、気に入らない紫陽花はその場に捨てていく姿を見た。その突然な死は母の死を連想させた。「死の時間の檻」からの解放感と幸福感、そして哀しみが喪失していくあの感覚が蘇ってきた。

気付くと紫陽花の亡骸をひたすら写真に撮っていた。撮ることで哀しみをそこへ保存し永久的に感じることのできる哀しみを創り出しているような気持ちだった。
そして自分の中で哀しみが生まれていくような感覚になりその写真を共有することで哀しみを周りの人と共有した気持ちになり自分へ感じていた恐怖感も徐々に和らいでいくのを体感していた。

それを機に死んだ花を撮り続けている。花の「生」が道端に存在すれば「死」も必ず存在しその生を見つける度にその先の死を待ちわびるようになった。作品にすることで「生きた哀しみ」を感じることができた。私のこの作品は日常にある最も身近な死から永久的に感じることのできる哀しみをそこへ保存した作品である。また哀しみを共有できる手段の一つとなり私の心に安らぎを与える作品となっている。

三浦勇人

三浦勇人 Profile

1993年 福島県生まれ

【2011年度】福島県立本宮高等学校 卒業

◆受賞歴

◆展示歴
2017年
12月:初個展「刹那と静寂」代官山にて開催


2018年
11月:Affordable Art Fair Amsterdam 2018
北井企画ブースにて出展

12月:個展「憂いの影」代官山にて開催


2019年
5月:SICF20出展

8月:北井画廊
「ART ON PAPER Project2~紙の美術其の二~」出展

11月:GALLERY ART POINT「ART POINT SelectionⅦ」出展

◆インフォメーション