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KENZAN202323/11/15[水]-23/11/19[日] @ 東京芸術劇場

美術界の次世代を担う作家達が、自らの芸術環境を創造する「見参プロジェクト」。その一環として年に一回開催される美術展「KENZAN」は、作家を目指すものにとって美術業界への登竜門となる見参プロジェクトのシンボルイベントです。
前身となる美大生有志によるアンデパンダン展「遊美」から数え17回目の開催となる今回も、各協賛ギャラリー賞の他、ご来場者アンケートで人気を得た作家への「オーディエンス賞」の授与など、作家たちにとって大きなチャンスの場となっております。
ぜひ皆さまも、ご来場いただき若き才能の発掘にご参加ください!

◎全作品公開は11月14日(火)0時~
◎WEB販売スタート:11月15日(水)11時~

視覚美術家
河野菜穂子 / Nahoko Kohno [B1 Atelier East]

● 主な技法:油彩、キャンバス

油彩を始めた当初、山や街並みなど具体的なモノを描いていた。当時は見たものをどのように作品に写していくかが大切だと考えていた。しかしふとパレットに目を移した時に、その作為的ではない絵具そのものの姿に惹かれた。大自然を目の前にした時の個人的体感のそれに近い兆しを絵具から感じたのだ。それは生き物にも似た生命感のようなものでもあり、それが油彩を素材として扱い敬意を持つ分岐点となったと感じている。それから絵具という素材から生命感を掘り起こすような気持ちで制作に取り組んでいる。

制作していくうえで、「良い作品とはどういうものなのか」ということを作者の中ではっきりさせることは大切だと考えている。それを考える際に着目したのは作者が昔から興味関心を持っていることでだった。小さい頃から昔のものや古いものなどの遺跡・遺産が好きで、時代や環境・文化は自分の置かれているものと全く違うが、人間としてどこか共通する部分もあるのだと幼心ながらに感じていた。それは時代や流行に揺らがない価値観が人間社会のなかにに存在していると言い換えることができるのではないだろうか。その琴線に触れる作品こそが良い作品であり、そのような揺るがない良さが良い作品に宿るのではないかと思っている。

また、作者は学生時代に演奏実技を学んでいたのだが、その時言われたことも「良い作品とはどういうものなのか」について考える一つのヒントとなった。「音楽とは基本的に音程・リズム・ハーモニーで構成されていて、作曲家はそれらを理解し確信した状態で組み合わせて曲を作っている。だからクラシック音楽は何百年も変わらず人々に愛される音楽として現在まで伝えられてきた。それは音楽と聞くと曖昧に感じるが、様々なことにも言える。例えば、料理人も個々の素材や調味料・調理法をなんだかわからないまま放り込んで美味しい料理を作るわけではない。素材の味を理解し、調理法を吟味して一つの料理として完成する。それと似ている。」

使う感覚は違えど、このことは視覚芸術においても同じことが言えるのではないだろうか。作者なりの視覚においての骨組みや各要素を模索し吟味をすることにより確信を重ねていくことが、いつまでも良いと感じる作品に近づいていくのではないだろうかと考え、現在は「油彩のマチエール」と「油彩の透明層と不透明層の関係性」を主軸に視覚においての骨組みを模索している。その模索は言わば、作品はひいては時代や流行に揺らがない価値観を含んだ作品になっていくのではないかと信じている。

河野菜穂子

河野菜穂子 Profile

1992年 北海道生まれ

◆受賞歴

◆展示歴
2019
CONTEMPORARY PAINTING EXHIBITION(The Bricklane gallery /London)
2020
個展「広い砂漠をゆく/脱皮した心臓の拍動/櫂を選る」 (CAFE ESQUISSE /札幌)
LIKE THIS AND LIKE THAT(rossocinabroArtGalery/Roma)
2021
「語る抽象画展12」前半 (The Artcomplex Center of Tokyo)
2022
個展「繭にねむる/月をならべる」(CAFE ESQUISSE/札幌)
個展「AM4:00の標本」(The Artcomplex Center of Tokyo)
2023
個展「どこからきたのか どこへむかうのか」(ギャラリー犬養/札幌)
いい芽ふくら芽 in SAPPORO(大丸札幌店催事場)
KENZAN 2024(東京芸術劇場)
2024
個展「遠近【えんきん/おちこち】の折り合い」(CAFE ESQUISSE/札幌)

◆インフォメーション
北海道生まれ。
現在、北海道を拠点に制作している。

新婚旅行先が和歌山、大阪、奈良、京都でした。
妹が現在大阪に在住。
今年甥っ子が生まれました。