アーティスト
中根隆弥 / Artist
● 主な技法:インスタレーション、コラージュ、パピエ・コレ、アッサンブラージュ
“私は取り戻したいのだ。私の中に眠る人間の本能を。”
ジャン・デュビュッフェ
わたしはこの言葉についてずっと考えを巡らせています。デュビュッフェはここで絵画と限定していますが、わたしはアート全体、表現すべてにおいてそのような考え方を大切にしたいのです。
科学が進歩し、より生きやすくなった現代においてわたしもその恩恵にあずかり生活を営んでいる。しかし、そのような中海に行って浜辺を歩くとき、山を登るとき、広大な自然にふれるとき、その瞬間、恩恵を享受してプカプカと浮遊している「人間ではない何か」をわたしの中に感じるのです。
自然と人間が現代よりも密接に関わり合い、生活をしていた時代。それは、人間が持てる力を用いて、何とか工夫してより良い生活を実現させようとしていた時代でした。その積み重ねがあって現代の生きやすさに繋がっています。
わたしは、人間が自分自身の身体を使って人間としての本能によって生活を営んだり、理想を追い求めたりする姿こそが人間が内包している「生(なま)」だと感じています。
進歩と衰退は同時に起こります。科学技術の発展によって人類は己の力ではなく外界から受ける力や恩恵によって生きることが増えてきました。人間として備わっている自身の本能、能力を使わずに。
それが悲しくて仕方ないのです。
しかし、いくらここで悲しんでいても、いまから原点回帰して過去の生活を現代で実現するのは不可能です。
だから、わたしは表現し続けるのです。
人類が人類の力を、本能をむき出して生きる。そんな痕跡を過去から参照し、私の中に眠る本能と混ぜ合わせるようにして「生(なま)」の芸術を体現させたいのです。
現代(いま)という時代にて人間の本能を呼び覚ますために。
中根隆弥 Profile
1996年 山梨県生まれ
静岡大学 教育学研究科 学校教育研究専攻 美術教育専修 修了
◆受賞歴
2018年 第27回全日本アートサロン絵画大賞展 写実表現部門 優秀賞
2021年 第28回全日本アートサロン絵画大賞展 自由表現部門 入選
2022年 第 2回Gates Art Competition 入選
2023年 CCC 公募展2023 入選
◆展示歴
【グループ展】
2020年 めぐるりアート静岡2020『箱の生活+』" Life in the Boxes Plus "
/東静岡アート&スポーツ/ ヒロバ「コンテナ・アートベース」内ギャラリー
2020年 PAIN ting 痛みと向き合う展覧会/静岡県立美術館
【アートフェア】
2022年 Art Potluck/スタジオD21 (東京都)
【芸術祭】
2023年 トビチ美術館2023 偶然、ここで。展/旧安藤精麦(長野県)
【個展】
2024年 Drawing Machine 生の体現-本能と生を感じる展覧会/静岡市文化・クリエイティブ産業振興センター(CCC)(静岡県)
◆インフォメーション
1996年生まれ。2021年静岡大学教育学研究科学校教育研究専攻美術教育専修造形制作論分野修了。人間に内包されている「本能」を体現するため、ドローイングを主軸として「生の芸術」を目指している。また、ドローイングを行うためのマシン「ドローイングマシン」の制作も行っている。現在では、会場に展示されているドローイングマシンを実際に使用し、ドローイングを行うパフォーマンスも発表している。これからも私は、人間の本能を呼び覚ますために、生々しく「生の芸術」を目指して作品を創り続ける。