西尾 明奈 / Akina Nishio
● 主な技法:紙のシワを用いた技法
私は、紙のシワを用いて作品制作を行っている。
昔、学校で配られたプリントは、少しシワが寄っているだけで誰にも選ばれず、最後まで机の上に残っていた。絵を描くときも、シワのある紙は避けられていた。その光景に、胸の奥が「キュッ」と締め付けられるような思いをしたことを覚えている。
紙のシワは、しばしば欠点とみなされる。
けれども、視点を変えると、それはただの傷ではなく、紙にしか生まれない表情にも見えてくる。
人生も、少し似ている気がする。
生きていれば、辛い出来事や困難、時には絶望に出会うことがある。心にしわくちゃな跡が残ることもあるし、ときには破れてしまったように感じることもある。
でも、その跡があるからこそ、にじみ出る人の魅力や深みが生まれたりしないだろうか?
私の制作は、そんな「シワ」に絵を描くことから始まる。
それは欠点を隠すのではなく、そこに光を当てて、別の美しさとして立ち上げていく試みだ。
見る人が、そのシワの先にどんな物語や記憶、感情を見つけるのか?
その先は、鑑賞者にゆだねたい。

西尾 明奈 Profile
東京生まれ奈良育ち生まれ
2016年 大阪教育大学大学院美術教育研究科 卒業
◆受賞歴
New Power展選抜
芝田町ギャラリー 買い取り賞
ディファレント京町堀アートフェア 金谷勉賞
池袋アートギャザリング2025 C-DEPOT賞
◆展示歴
2024年 9月 Moon Art展(大阪 阪神梅田本店)
2024年 10月 クリエーターズフェア展(奈良 近鉄百貨店橿原店)
2024年 11月 個展(神戸 阪急神戸百貨店)
2024年 12月 芝公(大阪 芝田町ギャラリー)買取賞
2025年 7月 個プラス展(大阪 イグエムアートギャラリー)
2025年 8月 Independent Tokyo 2025(東京ポートシティ竹芝 タグボート)
2025年 11月 ディファレント京町堀アートフェア(大阪 cotomonomichiギャラリー会場) 金谷勉賞
2025年 11月 池袋アートギャザリング(東京 東京芸術劇場) C-DEPOT賞
2026年 1月 韓国現代アート展(韓国ソウル LAMERギャラリー)国際美術交流賞
2026年 4月 アーブル展(大阪 蔦屋書店 イノゲート大阪梅田)
2026年6月~7月 アートルーブル選抜展(大阪 カワチ画材阪急梅田店)
2027年3月~6月 個展(東京 パークホテル東京)
◆インフォメーション
私は、紙のシワを用いて作品制作を行っている。
昔、学校で配られたプリントは、少しシワが寄っているだけで誰にも選ばれず、最後まで机の上に残っていた。絵を描くときも、シワのある紙は避けられていた。その光景に、胸の奥が「キュッ」と締め付けられるような思いをしたことを覚えている。
紙のシワは、しばしば欠点とみなされる。
けれども、視点を変えると、それはただの傷ではなく、紙にしか生まれない表情にも見えてくる。
人生も、少し似ている気がする。
生きていれば、辛い出来事や困難、時には絶望に出会うことがある。心にしわくちゃな跡が残ることもあるし、ときには破れてしまったように感じることもある。
でも、その跡があるからこそ、にじみ出る人の魅力や深みが生まれたりしないだろうか?
私の制作は、そんな「シワ」に絵を描くことから始まる。
それは欠点を隠すのではなく、そこに光を当てて、別の美しさとして立ち上げていく試みだ。
見る人が、そのシワの先にどんな物語や記憶、感情を見つけるのか?
その先は、鑑賞者にゆだねたい。
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そして作品について
タイトル《あの日の私に花束を 松雲》(縦200cm×横200cm 天井に5mくらい)
鑑賞者それぞれが思い描く「あの日」――頑張った日、しんどかった日、人知れず泣いた日など――そのすべてを讃えたい、花束を捧げたいという思いから生まれた作品である。
その感情の痕跡を、シワのある花束として表現した。
本作は複数のパーツから構成され、組み替えることで形を変えることができる。
それは、常に変容し続ける自然や生命の在り方と重ね合わせた構造である。
たとえ分離していても、異なる姿をとっていても、そこには「一つの命」が存在している。
私は、形そのものに本質があるのではなく、
バラバラであっても「一つ」としてつなぎとめる仕組みこそが命なのではないかと考えている。
本作の可変的な構造は、形の儚さと、それを超えて存在し続ける生命の強さを象徴している。
また、松葉の描写においては、細密に形を描き込むのではなく、ペンをグルグル、ぐしゃぐしゃと走らせる荒い線を多く取り入れた。
この描き方は、幼い頃から私自身が負の感情やストレスを抱えたときに、紙の上で筆記具を無心に強く動かし続けてきた行為から着想を得ている。
自身の感情の揺らぎや衝動がそのまま刻まれるこの描き方によって、生命が本来持つ荒さや野生性を画面に立ち上げようとした。
これまでの制作では整った線ばかりによる表現に傾きがちであったが、本作ではあえてその制御を緩め、荒い線を混ぜることで、画面に生々しい生命の気配を取り込むことを試みた。
また、パーツの接合には金継ぎのイメージを取り入れた。
支持体は紙だが、レジンでコーティングすることで陶器のような光沢をまとわせている。
