李 丹 / DAN LI
● 主な技法:日本画
『自己愛の三面鏡』は、日々の中で自己と向き合う行為を三つの異なる視点から映し出した作品です。三面鏡は、正面・左右の鏡が互いに反射しあい、無限に広がる像を作り出します。その構造は、自分を多面的に観察し、ときに過剰に、ときに優しく受け止める心の働きに似ています。
画面には、これまで私が探求してきたカラスのモチーフを中心に、器や日常の断片が漂っています。カラスは私にとって自己の象徴であり、器は記憶や感情を内包する容れ物です。素材には岩絵具と墨を用い、雲肌麻紙の上に藁を混ぜることで、時間を帯びたような質感を生み出しました。墨の流れと鉱物の輝きが、自己愛の持つ繊細さと重さを同時に表現しています。
私は、この「池袋モンパルナス」の自由と交流の精神に、自分の自己愛表現を重ね合わせました。三面鏡に映る無限の像は、他者との対話や刺激を通して更新されていく自己の姿でもあります。ここ池袋で再び、多様な表現が響き合い、新しい物語が生まれることを願っています。

李 丹 Profile
1997年 中国生まれ
2025年 女子美術大学 美術研究科 博士前期課程 美術専攻 日本画研究領域 2年
◆受賞歴
2024年 佐藤国際文化育英財団 第 34 期奨学生(佐藤美術館 / 東京都)
2024年 神山財団芸術支援プログラム 11 期奨学生(神山財団 / 東京都)
2024年 第 9 回 石本正日本画大賞展 奨励賞(浜田市立石正美術館 / 島根県)
2024年 第 59 回 神奈川県美術展に 入選 (神奈川県民ホール / 神奈川県)
2024年 数寄和公募展「ギャラリーへ行 こう」 に 入選 (数寄和ギャラリー/ 東京都)
2024年 第 51回 創画展に 初入選 (東京都美術館 / 東京都)
2025年 永井画廊公募日本の絵画 2024 大賞(永井画廊 / 東京都)
2025年 第 24 回佐藤太清賞公募美術展 板橋区長賞( 佐藤太清美術館 / 福知山市厚生会館
横浜赤レンガ倉庫 1 号館 / 神奈川県・成増アクトホール / 東京都・京都文化博物館 / 京都府
名古屋市民ギャラリー矢田 / 愛知県)
2025年 月刊美術新人賞 デビュー2025 奨励賞(ギャラリー和田 / 東京都)
2025年 第27回雪梁舎フィレンツェ賞展 佳作賞(雪梁舎美術館/新潟県・東京都美術館 / 東京都)
2025年 第8回 宮本三郎記念デッサン大賞展 に 入選(宮本三郎美術館/石川県・世田谷美術館 / 東京都)
◆展示歴
2024 年 女子美術大学美粒子日本画作品展(佐倉市立美術館 / 千葉県)
2025 年 女子美術大学 JOSHIBISION2024 “アタシの明日”展に出展(東京都美術館 / 東京都)
2025 年 銀座中央ギャラリー「日月輪転」個展(銀座中央ギャラリー/ 東京都)
2025 年 銀座東急 PLAZA「黒く、満ちず」個展(東急 PLAZA Art Gallery/ 東京都)
2025 年 千住博と令和の新鋭たち展(東邦アート/ 東京都)
◆インフォメーション
私は現在、日本画の素材を用いながら、自己愛や記憶、日常の行動をテーマに作品を制作しています。絵画の枠にとらわれず、雲肌麻紙や絹、段ボール、布、紙テープなどの素材を組み合わせ、岩絵具と墨のにじみ・重なりによって、曖昧で揺らぎのある空間を表現しています。
今年は、身近な器物やカラスといった象徴的な存在を通して、自分自身と向き合う行為を描いています。たとえば、カラスの行動や佇まいを、都市に生きる私たち自身の姿と重ね合わせ、記憶の置き場所としての「器(うつわ)」や「家」をモチーフに取り入れることで、孤独とぬくもりが交差するような情景を描き出しています。
私は、見る人が作品を通じて、自分の記憶や感情と静かに対話できるような空間をつくりたいと考えています。それは、まさに池袋モンパルナスに集った作家たちが、時代やジャンルを超えて交差し、歯ぎしりしながらも表現を模索し続けた姿勢と重なります。
このような歴史ある企画展に参加できることを光栄に思い、表現を通じた新たな出会いと対話を楽しみにしております。
